こんにちは!さくらピクニックです。
この記事では
誰でも楽しめる、生物/生命科学の一般書の
おすすめを5つご紹介していきます。
私自身、生物を専攻する前も、専攻している時も、
一般向けの生物の本をいくつも読んでいました。
植物・動物や人間の体の仕組みは
ミクロな世界に入っても、よりマクロな視点でも
不思議で面白いものです。
そんな世界に私を引き込んでくれた、
素晴らしい本たちを僭越ながらご紹介します。
一般向けの本といっても詳細度や専門性はバラバラですが
読みやすく、中身が入ってきやすいものを
できるだけ特選してご紹介します!
目次
『ぼくの生物学講義: 人間を知る手がかり』 (著:日高敏隆)
まず1つ目は、日高敏隆さん著、昭和堂出版の
『ぼくの生物学講義: 人間を知る手がかり』
です。
1番初めにおすすめとして出てくるくらい好きな本です。
趣旨としては「人間とはどんなものか」というもので、
それをこれまでの動物科学の研究や、実際の他の動物との違いから
紹介していくものです。
人間が動物だってことはみんなよく知っている、多分。だけども、よく考えてみると、動物にしては、いろんなヘンなところがいっぱいあるわけですよ。- 日高敏隆『ぼくの生物学講義: 人間を知る手がかり』(昭和堂, 2010年)
- 本当に講義やセミナーを受けているかのような語り口で読みやすい
- 聞き手(読者)への問いかけもそのまま文章になっています。
- 教科書や専門書に載っているような難しい単語はほとんど出てこず、気楽に読める
- 色々な例え話や実際の動物の行動など、非常に具体的で、かつわかりやすいです
- (色々な生き物が話の中で挙げられるが、)話の趣旨は「人間とはどんなものか」にあると考えられ、
身近に考えやすい- 他の動物と比較して人間が「変わっている」部分に焦点が当てられます
こんなところです。
この本はこんな方におすすめです!
- 動物、特に人間の体に興味がある人
- ミクロ(例えば細胞の中のタンパク質のことなど)よりではなく、
どちらかというと人間の形態、生理や進化など、大きな視点のことを知りたい人- 特に、進化に焦点が当てられているかもしれません
- 専門的な単語が羅列されていないような生物の本を探している人
『動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか』 (著:福岡伸一)
2つ目は、福岡伸一さん著の
『動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか』
です。
2巻、3巻とあります。全部持っています!
↓私が持っているのは単行本ですが、今は新書で新版が出ているため
そちらの商品リンクを貼り付けておきます。こちらも『動的平衡2』『動的平衡3』とあります!
ちなみに、高校生の時に私の通っていた高校に
著者である福岡伸一先生がいらっしゃって、動的平衡に関する講演をして下さった思い出があります。
生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食物として摂取した分子と置き換えられている。身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作り変えられ、更新され続けているのである。
- 福岡伸一『動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか』(木楽舎, 2011年)
動的平衡とは何か、についてはこの辺り↑で特に語られていますが、
本ではこの動的平衡の話を中心に、病気のことや認知、記憶のことなどさまざまな視点から
人間に限らず「生命とは何か」に迫る内容です。
- 専門的な単語が比較的少なく、読みやすい
- ダイエットや病気、記憶のことなど、自らの普段の生活を思い返しながら読めるエピソードが豊富
- 分子レベルでの話も多く、身体の中のミクロな世界に入り込める内容
こんなところです。
この本はこんな方におすすめです!
- ミクロなこと(例えば細胞の中のタンパク質のことなど)にも興味がある人
- さまざまな身近なテーマから生命のことを考えてみたい人
- 専門的な単語が羅列されていないような生物の本を探している人
- 読みやすく、かつボリュームのある本を探している人
『ソロモンの指環: 動物行動学入門』(著:コンラート・ローレンツ)
続いて、コンラート・ローレンツ著、日高敏隆 訳の
『ソロモンの指環: 動物行動学入門』
です。
大学の授業で先生に紹介いただいた本だったような気がします。
タイトルの通り、動物行動学の本で、
鳥や魚などの行動、生態を観察し、研究してきた著者が
それらをユーモラスに、緻密に記した本です。
自然について知れば知るほど、人間は自然の生きた事実にたいしてより深く、より永続的な感動を覚えるようになる。
- コンラート・ローレンツ, 日高敏隆(訳)『ソロモンの指環: 動物行動学入門』(早川書房, 1998年)
- 専門的な単語がほとんど出てこず、読みやすい
- 動物の名前こそ、初めて耳にするものがあるかもしれませんが…
- 話の書き方が物語調で具体的で、かつユーモアがあって、読んでいて楽しい
- 著者の動物への愛が感じられます
- 挿絵もあるので、ありありとイメージを膨らませられます
- 鳥や魚などの動物の驚くべき行動や生態を知ることができる
こんなところです。
この本はこんな方におすすめです!
- 動物や、動物特有の面白い行動が好きな人
- 説明というよりも、物語調で読みやすい本を探している人
『精神と物質: 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』 (著: 立花隆、利根川進)
続いて、立花隆、利根川進 共著の
『精神と物質: 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』
です。
この本は
ノーベル賞を受賞した利根川進さんに、立花隆さんがインタビューをした内容が記された本になります。
専門的に深くとまではいかないが、少なくとも一般の方には、利根川さんが何をどう研究し、その研究のどこがノーベル賞に値する評価を受けたのかを語れるところまでは話をうかがってきたつもりである。
- 立花隆, 利根川進『精神と物質: 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』(文藝春秋, 1993年)
もちろん、利根川進さんの研究内容と、それを支える分子生物学の基礎に関して詳細な説明がありますが
それだけでなく、利根川さんの研究者としての考え方、生き方にかなりスポットが当てられています。
- 研究者の在り方、考え方を見て考えることができる
- どのように研究が進み、ノーベル賞受賞の発見に至ったか知ることができる
- インタビュー形式で読みやすいうえ、図や注釈も多く、噛み砕かれている
こんなところです。
この本はこんな方におすすめです!
- 高校生物の入門くらいの予備知識がある人
- 生命科学の研究の進み方や、研究者の生き様・考え方に興味がある人
- ミクロな、分子レベルの視点での生物分野に興味がある人
『人体はこうしてつくられる: ひとつの細胞から始まった私たち』 (著: ジェイミー.A・デイヴィス)
最後は、ジェイミー.A・デイヴィス 著、橘明美 訳の
『人体はこうしてつくられる: ひとつの細胞から始まったわたしたち』
です。
本の表紙は人体模型ですが、
この本は発生生物学(受精卵から胚が発達し、器官ができていく過程の生物学)が話の中心になります。
私自身、ひとつの細胞から一人の人間ができていくという発生学に特に興味があり
この本を選んでみました!
発生の物語はわたしたち一人一人が経てきた道であり、わたしたち自身の物語だというのに、無味乾燥な論文でしか読めないというのはなんとも残念だ。そこで、どうにかして平易な本にまとめられないかと考えた。- ジェイミー.A・デイヴィス, 橘明美(訳)『人体はこうしてつくられる: ひとつの細胞から始まったわたしたち』(紀伊國屋書店, 2018年)
- 人体の発生がどのように行われるのか、比較的やさしい言葉で詳細に学ぶことができる
- 発生の分野が好きなので、それだけでもうこの本は好きです
- 専門用語も多々出てきますが、説明が細かく、また図解も多いです
- 現在までの研究でどんなことがされてきたかを知ることができる
こんなところです。
この本はこんな方におすすめです!
- 高校生物の入門くらいの予備知識がある人
- 人体における、受精卵からの発生の過程に興味が強い人
- 一般向けの内容で、じっくり詳しく知りたい人
まとめ
私自身のお気に入りの
生物の一般書を5つ、ご紹介しました!
生命科学に興味を持たれている方で、本をお探しの方の
お役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!